覇王の娘のその後

 

 

「大陸も統一したし……」

「そうですね」

「なあ、ベルビウス?」

「どうしました?」

「……私もそろそろ結構いい年だと思わないか?」

「そうですね」

「……」

「……」

「……」

「私は一向に構いませんよ?あなたがどのような相手を見つけてきても、あなたが納得しているのであ

れば認めてあげますから」

「待て。何故ベルビウスに認められなければならない」

「忘れてはいけませんよ。私たちが融合しているという事実を……私たちは言葉通り一心同体。貴方の

伴侶となる方は、すなわち私の伴侶となるのです」

「そ、それはいくらなんでも!?」

「当然でしょう?共にデートの日々を過ごし、同じお皿の料理を食べ、同じコップのジュースを2つのスト

ローで飲み……」

「……何気に古くないか?」

「手を繋ぎ、キスを交わし、果ては甘い夜の日々すらも私たちは共にその伴侶との経験をするのですか

ら」

「………………………………!!??」

「だから、良い人にめぐり合ってくださいね?」

「……わ、私……多分、一生結婚しないぞ……」

 

 

 

 そうして、その50年後くらい。

 ベルビウスとの共同生活から解放され、レナは新たな世界へと足を踏み入れた。

 今度こそ。今度こそ普通の(どう考えても違うが)人生が送れる……!

 そう思ったのもつかの間。

 

「あれ、あなた。顔が変ですよ?」

「いけません……顔が変ですね」

 

 ――……私は、ここでも男に恵まれないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子孫の話とか聞かないし、そういうことかなあ、とか。そんな男運がないレナ。 2006/03/20